『LIVE』 Vol.25
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005たとえば鉄鍋やフライパンは長年使い込んで、ようやく油が馴染んだころが一番使いやすいように、加齢とともに現れたシワやたるみは人間がちょうど熟成されたという証拠、世間にこなれてきた合図と思えばいいのであって、わざわざそれを消そうと必死になるのは、不要なイライラを日常に持ち込み、安穏とした日々を邪魔するだけではないかと思うのだが、いかがだろう。 とはいえ、いつまでも若々しくありたいと願うのが人間というもの。友人に「全然変わらないわね」と言われればうれしいし、それに、外見が若いのは気力が充実している証とも言えるだろう。それなら、エイジングをどう考えればいいのかというと、私は「アンチ」ではなく「ウィズ」という姿勢を提案したい。「ウィズエイジング」、つまり、「老化とともに」という考えだ。 少しでも若く、きれいに見せたいと思うあまり、美容に良いといわれることをなんでも貪欲にやろうとするのではなく、そこは酸いも甘いも嗅ぎ分けた熟年世代の知恵を活かし、自分に必要なものを選ぶことから始めるのだ。体のたるみ、姿勢のゆがみ、顔のシワなど、気になることを挙げたらきりがなく、それらの対処法も世間では多種多様に語られているが、なにも、「こんなにたくさんのことをやらなければならない」のではなく、「私たちにはこんなにたくさんの選択肢が用意されている」と考えればよいのである。老いて当然、たるんで当然。そんな前提のもとでトレーニングや治療をがんばれば、効果が出たときの喜びもひとしお、表情だってますますイキイキするはずだ。なんのために若々しくなりたいのかといえば、それはもちろん、毎日をしあわせに、すこやかに生きるため。それなら、「アンチ」という戦闘的な姿勢ではなく「ウィズ」という穏やかでゆったりした心構えでいたほうが断然、毎日が幸福だと思うのだ。 冒頭に紹介した『セックス・アンド・ザ・シティ』の話をもう一度。サプリ漬けの日々を送るサマンサも、以前はこんなに素敵なことを言っている。老眼鏡をかけたサマンサが、皆にからかわれたときに威勢良く放った台詞だ。「アタシは年齢のことなんて、恥ずかしいと思わない。年下の男にも愛されているし、いまだにイケてる女よ。年齢が何だっていうの? 隠すことなんて何もないわ!」 サプリを両手いっぱいに飲みつつも、実は、彼女にはこんな潔いカッコ良さがある。「ウィズエイジング」の極意は、実はこの台詞にこそ秘められているような気がするのだ。

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