『LIVE』 Vol.27
7/53

006災などの被災地でボランティア活動をしている友人から聞いた話だ。阪神大震災が起こった後、彼は神戸へ向かい、町の復興作業を手伝った。ある日、被災した人たちが住んでいる仮設住宅へ出かけてみると、なにやら派手なセーターを着たおばあさんがいた。発光塗料が入っているような、明るいピンクのセーターだ。「きれいなセーターを着ていますね」彼がそう声をかけると、おばあさんはこう言って苦笑いした。「本当は恥ずかしいんだけどね、でも寒いから仕方ない」話を聞くと、そのセーターは同じ仮設住宅に住んでいる二十歳くらいの女の子からもらったもので、「私は若いから大丈夫」と、譲ってくれたのだという。女の子の善意もあって、「私には派手過ぎる」と、さすがに言えなかったのだろう。しかし、やっぱり居心地の悪さは隠せないようで、表情は微妙だった。 数日経ってから再びその仮設住宅を訪ねてみると、また、ピンクのセーターを着たおばあさんがいた。「こんに震ASHIONちは」と後ろから声をかけると、振り返ったおばあさんはなんだか別人のように明るく可愛らしい表情をしていた。「似合うねって、みんな、言ってくれるのよ」と、まんざらでもなさそうだ。着る服は人を変える。性格も表情も、あっという間に変えてしまう。そんな力がファッションにはある。 この原稿を書いているのは、3月18日。あの、東北地方太平洋沖地震が起きて、7日後だ。地震と津波の被害は甚大で、いまだ福島原発の問題も解決の糸口が見えず、電力不足も深刻のまま。テレビでは被災地の惨状が繰り返し放送され、街では節電のためあちこちのネオンが消え、停電の間は信号まで消灯する。いつもは煌煌とまぶしいスーパーやコンビニでさえ、びっくりするほど薄暗い。もちろん、節電をする理由はよくわかる。でも、先日、地震以来閉店していたフィットネスクラブが久しぶりに営業を再開したので出かけてみ?Are You EnjoyFITNESSFASHION?

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です